障害者の「働く」叶える現場の工夫

2020/03/16

収穫物を入れるかごが雑草でいっぱいになる。まもなく午後2時。畑作業にいそしんでいた人たちが仕事を終える時間だ。作業を担うのは、障害や難病のある人たち。作物を植えて世話をし、収穫した野菜を袋詰めして出荷する…。障害者雇用に力を入れる岡山県総社市にある福祉事業所「グリーンファーム」で障害者雇用の最前線を取材した。

福祉事業所「グリーンファーム」で働く障害者(左)と指導員の岡田佳世子さん=岡山県総社市

■特性に合わせて

グリーンファームは、一般企業で働くのが難しい難病や障害のある人に、働く場所を提供する「就労継続支援A型事業所」だ。本人と雇用契約を結び、最低賃金以上の賃金を支払う。今、働いているのは知的、精神、身体障害や難病の人など15人。近隣の農地を借りて野菜を育てたり、一般企業の仕事を請け負ったりする。

取材日は収穫物がない時期。知的障害のある男性は、指導員と「ここは終わった?」「まだ」などと言葉を交わしながら雑草を取っていた。現場の統括マネジャー、大西志功さん(50)は「障害のある人の特性はさまざま。指示を出す側が、伝え方を工夫する必要がある」と話す。

野菜の袋詰め作業をしていたときのこと。袋の中身を100~120㌘に均一化できない人がいた。スタッフが、はかりをデジタル表示のものに変更。101、102、103と120までの数字をすべて紙に書いて教えたところ、できるようになった。伝え方や手法を工夫することでできるようになる。坪井直人代表(43)は「利用者が徐々に変わっていく、その成長を見守れるのがやりがいです」と語る。

障害者雇用に力を入れる岡山県総社市の就職面接会では、福祉事業所のスタッフが手作りクッキーを売っていた

■課題は「収入増」

自動車部品メーカーからはサンバイザーの組み立てを請け負う。携わるのは、難病で元の職場を退職し、グリーンファームに来た男性。「みんな、それぞれ事情がある。できないこともあるが、働けることに感謝している」と作業の手を休めることなく話した。

課題は、収入をどう増やすか。過去には栽培の失敗もあった。坪井代表は「年間の作付けスケジュールや作業手順を確立し、分かりやすく指導していくことが重要」という。収穫量アップを目指す作業は試行錯誤だ。

障害者雇用のための就職説明会。企業や福祉事業所の担当者が仕事内容などを説明した=岡山県総社市

■市を挙げて就労支援

グリーンファームがある総社市は「障害者1500人雇用」を目標に掲げ、雇用に力を入れる。1月末に開かれた就職面接会には、同市や周辺の一般企業13社と障害者就労に取り組む4つの福祉事業所が参加。集まった約30人の障害者らに仕事内容を説明したり、面接をしたりした。

初参加の葬儀社は、「小さな会社だから障害者雇用が法律で義務づけられているわけではない。雇用実績もないが、市の方針に共感して参加した」と話す。

社内には、障害のある人にできる仕事があるか危惧する声もあった。しかし、「企業が働ける場を作ることから、助け合いの心も生まれる」と期待する。少しの理解と工夫で、活躍の場は広がる。

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