介護を受けるようになっても、母は人生のお手本=柴田理恵さんの連載エッセー〈最終回〉

この冬、施設で過ごしていた母ですが、
退院して3月から一人暮らしを再開しました。
平成29年に母が腎盂炎をきっかけに一時は寝たきりになりました。
その後退院し、一人暮らしをしていますが、
母を支えてくれる、大きな助けとなってくれているのが
10歳下のいとことそのお嫁さんです。
いとこにお嫁さんを紹介したのも母なんですよ。
いとことは、子供のころから本当に仲が良かった。
よく「ボク、大きくなったら理恵ちゃんのお嫁さんになる」って
言っていましたね。
一人っ子の私にとっては弟のような存在で、
その後もずっと仲良くしています。
今の世の中、親戚とか血縁のお付き合いも
希薄になってきているような気もしますが、
親戚もお友達も大切にしておいた方がいいですよ。
本当に、親身になってくれますから。
30代とか40代とか、
若いうちから親戚や友達に連絡をとっておいたらどうかな。
日頃から話をしておけば、
親が介護になったとき、
「どこの施設がいい」
「誰がヘルパーをやっている」
とか、情報を教えてくれる。
人と関わっておくもんですよ、本当に。
ありがたいことです。
私も若い頃には分からなかったけど、
年を取ったからこんな風に思えるんでしょうね。
■自分の介護についても考えた
母の介護に直面したこの数年間で、
自分の介護についても考えるようになりました。
母の希望で一人暮らしをしてもらってきましたが、
自分のときは、一人暮らしもほどほどにしないとなあ、なんて(笑)
夫婦で施設に入れると楽かもしれませんね。
二人でああだこうだと話ながら新しい環境に慣れていけば、
寂しくないかもしれません。
それまで、夫婦で元気でいられるように頑張らなくちゃ。
介護の情報も気にするようになりました。
今は親のことでも、あと20年もしたら、
自分にもやってくることですから。
親はやっぱりお手本。
親ってありがたいもので、この世に私を存在させてくれて、
生き方の見本を見せてくれる。
あんな親は嫌だって人もいるかもしれないけれど、
どっちにしたってお手本なんです。
介護でも、親がちゃんと答えを出してくれます。
どういう風に生きて、どういう風に自分の始末をしていくのか。
それを見ながら、自分のことを考えていきたいと思っています。
この連載は今回で最終回となります。
ありがとうございました。

地元富山の人たちに支えられての遠距離介護を綴ります
テレビや舞台で大活躍する女優の柴田理恵さん。90歳になる母の須美子さんは、今も富山県で地域の方々に見守られながら、元気に一人暮らしをされています。長年、小学校の先生をされてきた須美子さんは、とにかく明るくて、気っぷのいい性格だそう。そんな須美子さんですが、2017年の秋に体調を崩して寝たきりになり、一時は「要介護4」の認定を受けたこともあります。そこからどうやって現在の元気な毎日を取り戻したのでしょう? 須美子さんの奮闘を励まし、見守った日々のほか、さまざまな思いを綴ります。
5月からWAHAHA本舗全体公演「王と花魁」に出演予定
しばた・りえ 1959年、富山県出身。明治大学文学部卒業後、劇団東京ヴォードヴィルショーを経て、84年、WAHAHA本舗を設立。劇団の中心メンバーとして舞台で活躍するかたわら、映画やテレビドラマ、バラエティー番組、CFなどに幅広く出演。5月からWAHAHA本舗全体公演「王と花魁」(http://www.wahahahompo.co.jp/stage/koen/zentai/thegreatestkabuki/)に出演予定。