新型コロナの猛威のなかで考えたこと。=訪問美容師・湯浅一也さん<11>
新型コロナウイルス感染症の拡大により、全国の学校が臨時休校になるなど、さまざまなところに大きな影響が出ています。訪問美容をしている私たちも、ここのところ高齢者施設などへの訪問キャンセルが相次いでいる状況です。残念ですが、施設にいらっしゃるご利用者様の安全のためには仕方がないことです。
ウイルスの猛威に対し、社会のさまざまなところで前例のない対応がなされています。
一方で、普段からこうした“非常事態”に対する備えをしておくことも大切だと思います。
私たちが現在、訪問させていただいているご自宅や施設様に対して行っている対応と対策は以下のようなものです。
訪問時は必ず手洗い・手指消毒を行う
訪問時は必ずマスク着用
法令や条例に則した適切な衛生管理を徹底し、それを強化する
訪問前に施設側と情報共有をし、体調がすぐれない方には施術を控える
訪問する美容スタッフは、毎朝体温測定を行い、担当部署に報告。発熱などの症状や体調不良を感じる場合は休みとする
訪問中に美容スタッフが体調悪化を感じた場合は、直ちに早退。訪問先施設に必要事項を報告する
昼食はできる限り持参し、施設内でとる
これはインフルエンザ対策などこれまでにも実施してきたもの。つまり基本中の基本です。今般の新型コロナウイルス感染症に対しては、こうしたことをいつも以上に徹底し、十分に注意しています。
ご自宅で介護をされている方などのご参考になればと思います。

■成長のための踏ん張りどころ
さて、この1、2週間は新型コロナウイルスへの対応とともに、いろいろなことを考えました。
もちろん、こんな事態は起きない方がよいに決まっていますが、こうした“非常事態”になってみると、普段は「当たり前」とか「こんなものかな」と思って通り過ぎていたことが、実はそうではなかったことに気づかされたりするのです。
例えば、私たちは「当たり前のことを当たり前に」をモットーとして、訪問美容サービスをよりよいものにしようと努めてきました。
それによって少しずつサービスの質は上がり、訪問美容を志す学生や、サービスを始める美容師さんも増えてきています。でも、道半ばとはいえ、このまま進めばいいんだろうか…? もっと違う部分で実現できることがあるんじゃないか…?
つまり、私にとっても、今は本当の意味での踏ん張りどころ、正念場なのです。訪問美容を取り巻く状況が変化してきているからこその「壁」というんでしょうか。もがいている今は、これがとっても大きな壁に見えますが、きっとこれを乗り越えた先に大きな成長ができるはず。そう信じて、社内の調整を行ったり、一つ一つのサービスを見直したりしています。

■春はすぐそこ。チャレンジの季節
いつのまにか3月。桃の節句も過ぎて、春はすぐそこですね。
春というのは、年齢にかかわらず新しいことを始めたくなる季節です。
ご経験がある方も多いと思いますが、長年ロングヘアだった方がばっさりショートにイメチェンしたり、髪染めをしていなかった方が一転、明るいカラーにチャレンジしたり、久しぶりにパーマをかけてぐっと華やかになったり。大きく髪型を変える方が増えて、理美容師も特にやりがいを感じられる季節なんです(笑)。
だからこそ、新型コロナウイルスの猛威が一日も早く終息してくれることを祈っていますし、私たちが取り組んでいるサービスのレベルアップを完成させたいと思います。それを体感していただいて、より笑顔があふれる空間を作りたい。
「新しい髪型にチャレンジしよう!」という前向きな気持ちを大切にしたい。
それをきちんとかなえられるように、しっかり耳を傾けてご希望を引き出せし、それを実現したいと思います。一人ひとりが持つ「なりたい」をかなえるのが、理美容師の仕事ですから。
というわけで、皆さまも春に向けた新しいヘアスタイルをぜひ考えてみてくださいね!
最後になってしまいましたが、新型コロナウイルス感染症に遭われた皆さまに謹んでお見舞い申し上げます。改めて、一日も早い終息を心から願っております。
私たちは感染症対策を徹底的に遵守し、今目の前のお客様の笑顔を全力でデザインしていきます!
・・・今日の大先輩の名言「あなたの笑顔はみんなをきれいにする」92歳 美容室経営者

湯浅 一也(ゆあさ・かずや)1987年1月31日 、札幌市生まれ。札幌ビューティーアート専門学校卒業後、2008年にStudio Vに入社。サロン勤務を経て2012年に株式会社 un.を設立。美容師国家資格・初任者研修修了2つの資格を持ち、訪問美容の現場でハサミを握り、美容学校や介護専門学校での講師活動やセミナー・講演、テレビや新聞・インターネットニュースなどにも出演するなど活躍の場は多岐に渡る。