1人1人の願いを叶えるために進化を続けるサービス=訪問美容師・湯浅一也さん<6>

2019/12/17

現在ではカットカラーやカットパーマなど多種多様なサービスを受けることができるようになり空間演出や美容師の笑顔や活気を感じ美容を楽しめるようになりました。

サービス中はスタッフもお客さまも笑顔

■入居者全員同じ髪型だった

今回のコラムでは訪問美容の歴史を書かせて頂きます。
約15年以上前は介護施設で介護士や看護師の方々が髪を切っていた施設や病院もありました。

そこから年月が経ち、訪問美容はまだ移動式のシャンプー台がなく「整髪」だけ。読んで字の通り整えることのみが支流で、数年後、街の理美容師さんらがボランティアなどで施設にうかがいカットのみを行っていました。この時代に「特養カット」という言葉が生まれました。

特養カットとは襟足と横を刈り上げたショートのヘアスタイルのこと。
特養カットのヘアスタイル自体否定はしませんが、ここで問題だったのが施設に入居されている女性全員が同じ髪型だったのです。そして、男性の方々はみな坊主頭でした。

ひとりひとり好みのヘアスタイルもあるし、髪質や骨格、癖も違う中で全員同じ髪型になっていました。
この髪型が生まれた背景は施術者にとっては早い時間で髪が切れる、介護側にとっては髪を洗いやすく、乾かしやすくするためでありました。

施術を受けるご本人の気持ちが1ミリも入っていない…。
この時代、家族が施設に行っても、みんな同じ髪型だったから自分のお母さんを探すのが大変だったという声を耳にしたこともあります。

これはいかがなものでしょうか?

カラーやパーマの洗髪に関しても、洗面台やお風呂場で前かがみになり洗髪をし、「姿勢が非常に辛かった」という方、お風呂場で頭の上からお湯をかけて薬剤が目に入ってしまったなど体験した方から直接声を聞きました。お身体の不自由な方々が無理な体勢を取りサービスを受ける。そこから訪問美容の歴史はスタートしました。

施術後のお客さまと筆者

■負担をかけないサービスを

私は2012年に会社を立ち上げた時「精神的」「身体的」負担をかけないサービスこそがお客さまにとって美容サービスを心から楽しんでいただけると考えました。

それは「無理な体勢でサービスを提供しないことであったり」、「お客様の身体の状態に合わせた施術時間の対応」、「病気を知ったうえでのコミュニケ―ション」、これは当たり前のことですが「本人が今なりたい髪型を引き出し、理美容師が技術提供すること」。なにより本人が一番自分の似合う髪型を知っていますからね!

何より普段受けてきた美容をどんな状況、どんな場所であっても受けることができる環境が私は大切だと思います。

時代は進み、モノは良くなり、環境が変わり、はやりもニーズも変わり、AIやテクノロジーが進化する中で、私たちのような人と人とが関わり、人でしか出来ない職業だからこそ「心」をより進化させなくてはいけない時代になりました。

お客さまの声にしっかりと耳を傾けて学習し、お客さまの理解の追求をし「心に寄り添うサービス」が拡がる時代にしていきたいと考えています。

・・・今日の大先輩の名言「わが生涯に一片の悔いなし!早くかあちゃんにあいたいな」91歳 男性 会社経営

湯浅 一也(ゆあさ・かずや)1987年1月31日 、札幌市生まれ。札幌ビューティーアート専門学校卒業後、2008年にStudio Vに入社。サロン勤務を経て2012年に株式会社 un.を設立。美容師国家資格・初任者研修修了2つの資格を持ち、訪問美容の現場でハサミを握り、美容学校や介護専門学校での講師活動やセミナー・講演、テレビや新聞・インターネットニュースなどにも出演するなど活躍の場は多岐に渡る。

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