お客さまのために…私が描くミライ=訪問美容師・湯浅一也さん<5>

2019/12/03

前回のコラムでは訪問美容の仕事について説明させていただきました。
今回は私が描くこれからの訪問美容のミライについて書こうと思います。
私には夢があります。それは「人生100年時代、施設に入居されている100名100通りの理美容師さんを選ぶことができ、安心・安全でお客さまのなりたいを叶えるサービスが利用できるような世の中になること」が私の夢です。

湯浅さんとともにに働くスタッフら

■自分の好きな美容師に

介護施設内に出入りしている訪問美容の業者は、介護施設側から選別されて契約をしてもらい、訪問しているのが現状です。

一般の人にとっては、好きな美容師の元へ行って髪を切るということは当たり前の感覚ですが、介護施設に入居されている人たちは、好みの美容師を選べないのが現実なのです。

私も約7年間訪問し、お客さまと施術中にコミュニケーションをしている中で、入居前まで切ってくれていた理美容師さんのお話をされる人が多くいらっしゃいます。そこで「また(以前に)切っていた美容室に行きたい」「(お店で)担当してもらっていた人に切ってもらいたい」とつぶやく声が多いです。

長年ヘアーの担当をされていた美容師には、髪のことはもちろん、私生活のことなど話しているので絶対的な信頼感と安心感があるはずです。

しかし、現状では訪問美容の技術と知識を持つの理美容師は少なく「ホットペッパービューティーアカデミー」(2018年トレンド発表資料)の調べでは、訪問美容を実施しているサロンは全体の約12.6パーセントしか実施されていないのが現実です。

理美容師側も、生涯顧客を獲得するためにいかに長くお客さまと繋がっていけるかが現在の課題なのです。

出会った時から亡くなるその時までどうすれば担当していけるのかといった課題を持った人がここ最近より増えてきました。それは今の時代だからなおさらだと思います。

介護施設などに訪問時の湯浅さん。施術スタッフはブルーのベストで統一している

■利用者の幸せが第一

私自身、介護施設で担当させていただいてからお亡くなりになるまで、1人1人が持つ美容のこだわりに寄り添い美容面をサポートする責任があると考えて施術を行っています。

私は、自分のサロンで働くスタッフにも「生涯顧客の夢を実現するために、安心で安全にサービス提供できるように」と教育を行っています。同時に本人、家族、介護士側により一層、美容の価値を高めていけるような活動を率先して行い、つながり続けられるような環境を作っていくことを常に意識しています。

その環境こそがきっと理美容師自身にとっても一番の幸せにつながるはずです。

「身体が不自由になった」「暮らす環境が変わった」ことで、今までできた当たり前のことをあきらめることをなくしてきたい。
私は美容師だからこそ美容の分野の当たり前の基準を向上するため、日々活動してます。
それが私の使命なのです。

いつか、私が高齢者になった時、私や周囲の人たちが美容をより楽しめる好きなものを自分で選択できる世の中にするために…。

 

・・・今日の大先輩の名言「 長生きの秘訣はねぇ、好きなもの食べて、好きなことして、好きなこと言って嫌なことあっても、くよくよせず前向きに笑顔で生きることだね。 」100歳 女性 専業主婦

湯浅 一也(ゆあさ・かずや)1987年1月31日 、札幌市生まれ。札幌ビューティーアート専門学校卒業後、2008年にStudio Vに入社。サロン勤務を経て2012年に株式会社 un.を設立。美容師国家資格・初任者研修修了2つの資格を持ち、訪問美容の現場でハサミを握り、美容学校や介護専門学校での講師活動やセミナー・講演、テレビや新聞・インターネットニュースなどにも出演するなど活躍の場は多岐に渡る。

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