高齢化時代に必要な仕事=訪問美容師・湯浅一也さん<4>

2019/11/19

4回目の今回は、現在の私の仕事「訪問美容師」について。
みなさん、訪問美容というサービスはご存じでしょうか?
「理容・美容師国家資格を持ち、医療・介護の知識や技術を習得した者が、疾病・精神疾病・怪我・ご高齢・妊娠中などで外出が困難な方。また、ご家族の介護や乳幼児の育児を常にしていて、家を離れると家族の安全が保てなくなる為に外出が困難な方のご自宅・病院・介護施設などにお伺いし、 美容室で受けられるサービスを提供する美容師」。これが、私たち訪問美容師の仕事です。

訪問美容サービスを行うスタッフ

■増え続ける高齢者人口

毎年、敬老の日に合わせて統計局から発表される日本の高齢者人口。最新の発表では総人口が減少する中、高齢者人口は3588万人となり、総人口に占める割合は28.4%過去最多となりました。

厚生労働省から発表されている2025年の高齢者人口(65歳以上)の予測は3657万人。総人口に占める割合は30.3%と年々高齢者率が高くなっています。

寝たきりの高齢者の方は現在約200万人。2025年には約300万人に達するといわれています。

何歳になっても必ず髪は伸びます。
それでいて外出が困難な方の元へうかがって美容サービスを行うのが訪問美容師。
日本の理美容師の方々は必ず学び、身につけなくてはいけない技術・知識であり、日本の国民のみなさんが認知していなくてはいけない。
これからの高齢化の道には切っても切れない関係がある大事な職種です。

介護施設でもサロンと同じようにシャンプーをします

■オシャレで前向きに

私が思う訪問美容師としての使命は、美容のチカラで意欲をわき立たせ、より活動的かつ活発な高齢者の人たちを増やすことだと考えております。

例えば、足腰が不自由で外出困難になった人も髪型がおしゃれになると「アクセサリーをつけたい」「家族に会いたい」「銀座でお買い物がしたい」「新しい旦那さんや奥さんをみつけたい」「今まで通っていた美容室に戻りたい」とさらに高い望みをつぶやきます。これは私が実際現場で施術後にお客さんが発した言葉。これらはすべて、自ら足を使って行動し欲求をかなえる。そこで共通して「リハビリを頑張ろうかしらと」と口をそろえてみなさんがおっしゃいます。

私は、身体も心も前に進むための一歩目を踏み出すためのサポートが「美容」のチカラだと思っております。1人でも多くの方を元々通っていた美容室に戻っていただけることを心掛けながらサービス提供しています。

誰もがもともと通っていた場所があり、その技術者が一番つながりの深さや信頼関係があるからこそ「こころを高めるきっかけをつくり」元気になって、歩くことができるようになり自分の行きたいところへ行けるような人たちを増やしていくことが今の日本にはとても必要と考えます。

心も身なりデザインするクリエイティブな仕事それが「訪問美容師」なのです。

 

・・・今日の大先輩の名言「 私は家族にたくさん迷惑をかけた。自分を支えてくれたみんなを私は心の底から愛している。 」87代 男性 元住宅関連会社経営

trip salon un.のサービスのインテリア

湯浅 一也(ゆあさ・かずや)1987年1月31日 、札幌市生まれ。札幌ビューティーアート専門学校卒業後、2008年にStudio Vに入社。サロン勤務を経て2012年に株式会社 un.を設立。美容師国家資格・初任者研修修了2つの資格を持ち、訪問美容の現場でハサミを握り、美容学校や介護専門学校での講師活動やセミナー・講演、テレビや新聞・インターネットニュースなどにも出演するなど活躍の場は多岐に渡る。

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