新たな福祉のチャレンジャー…兵庫の稲葉さんが社会福祉HERO’S日本一に
松本まりかさんもエール
介護・障がい者支援・保育などの社会福祉の最前線で活躍する若手職員が、仕事の魅力や社会福祉法人で取り組んでいる実践を伝えるイベント「社会福祉HERO’S(ヒーローズ) TOKYO 2022」(主催・全国社会福祉法人経営者協議会)が2月28日、東京都千代田区大手町で開催された。全国の福祉現場で働く20-30歳代の若手職員6人が、仕事で直面するさまざまな課題にどう向き合ってきたか―などをプレゼンした。会場には福祉に関心を持つ俳優、松本まりかさん(38)もゲストとして登場し、参加者にエールを送った。
■〝社会福祉版の甲子園〟に過去最多の応募
イベントは福祉の仕事の魅力発信を目的に開催され、今年で5回目。全国各地から過去最多となる68人の応募があり、〝社会福祉版の甲子園〟として知られるようになっている。
この日は、千葉、神奈川、兵庫、岡山、島根、大分―の6県から参加したファイナリスト6人がステージに上がり、福祉の仕事で働くようになったきっかけや、仕事についての思い、現場での実際の取り組みについてプレゼンした。
会場の審査員と、全国からオンライン中継を視聴した大学生や福祉専門学生らの投票によって、2022年のグランプリ「ベストヒーロー」賞に兵庫県丹波篠山市の社会福祉法人「福住山ゆりの里」の相談員で介護福祉士、稲葉夏輝さん(35)が選ばれた。

■SNSで仕事の魅力を発信
稲葉さんは、「利用者の笑顔をスマホを通じて届けたい―」の思いで、SNSを使い、積極的な情報発信に力を入れている。動画投稿のTikTok(フォロワー数約1万5千)や画像投稿のInstagram(同2万)を駆使し、業界随一の存在感を示すようになったという。
若い頃に農業に従事していた利用者と一緒に白菜畑に行ったり、おやつ作りをする様子など、生き生きとした利用者の表情と笑顔が、会場のスクリーンに映し出された。車いすが入れない畑には、スタッフが利用者と共に赴き、そこで白菜の植え付けをする様子などがSNSで発信されている。
稲葉さんは「毎日投稿をし、SNSで張りのある姿を届けている」と胸を張る。

SNSを見て、青森や東京、福岡など全国各地から「福住山ゆりの里」に就職希望が寄せられ、約4年間で15人の採用が実現したという。
稲葉さんは受賞について「これからも福祉の(仕事の)魅力をたくさんの人に伝えていける投稿をしていきたい」と抱負を語った。

■「もっと知りたい」松本さん
この日、スペシャルゲストとしてトークイベントに登場した松本さんは、95歳の祖母がデイサービスを利用するようになったという。「(介護や福祉について)いろいろな話を聞いてみたいと思う」とプレゼンターに興味津々。6人それぞれのプレゼンが終わるたびに、質問を浴びせていた。グランプリの稲葉さんの活動については、「まさにこれがSNSの正しい使い方ですね」と感心し、「(福祉の仕事は)一生続けられ、やりがいを感じられるクリエーティブな仕事だと思う。私も福祉とコラボし、体験もしてきたい」と話した。
