「世界一あたたかい地図」作ろう ~移動あきらめない社会に~

2020/12/11

歩道橋、店舗の敷居、急すぎる坂道…。
多くの人が何気なく歩いている街角も、車いすユーザーには障壁だらけ。でも、外出をあきらめないでほしい。そのために生まれたのが、みんなでつくるバリアフリーマップ「WheeLog!(ウィーログ)」だ。アプリのユーザーなら誰でも、車いすで移動しやすい道や多目的トイレの場所、入りやすい店の情報などを入力できる。そのPRと交流を兼ねたリアル街歩きイベント「WheeLog! in 横須賀」が12月1日、神奈川県横須賀市で行われた。

○情報が世界を変える

「車いすだからと外出をあきらめていた時期があった。でも、バリアフリーのビーチがあると知って子供を海に連れていくことができた。情報があれば世界が変わるんです」

 

WheeLogの代表、織田友理子さん。「あきらめない世界を作りたい」

イベントの冒頭、一般社団法人WheeLogの代表、織田友理子さん(40)が、自身の体験を交えて活動の意義をスピーチ。織田さんは進行性の筋疾患である遠位型ミオパチーのため、車いすで生活している。数年前から「車椅子ウォーカー」としてバリアフリー情報や交通機関の利用体験などを動画配信していたが、「一人では限界がある」と、プラットホーム作りを考えた。2015年にGoogleインパクトチャレンジのグランプリを受賞して、17年にアプリをリリースした。このアプリを「世界一あたたかい地図」と呼ぶ人もいる。

イベントは、アプリの使い方を学びつつ、数人でグループになって街を散策するというもの。「横須賀名物を買う」「車いすで5km移動する」など、指示されたミッションのクリア数を競うゲーム要素もあって、初対面でもすぐに打ち解けられる。

ミッションの説明を受け、各グループで計画を立てて、いざ出発

○誰かが誰かの役に立つ

宮城から参加したユニバーサルデザインコーディネーターの岩城一美さん(45)は、6年前に事故で歩けなくなった。4年間引きこもったが、車いすで世界一周をした三代達也さんとSNSで知り合い、ウィーログと縁ができた。「人に負担がかかる、とか考えて、不安ばっかりだった」という暮らしが一変し、車いすで積極的に外出するように。今ではウィーログの運営委員も務める。

 

「歴史あるところにバリアあり」と岩城さんは笑う。風情と人にやさしい街並みを、どう両立させるかが課題

この日、繰り出したのは、ドブ板通り商店街。岩城さん、スカジャンのお店に吸い寄せられていく。「車いすで入ってもいい?」。どうぞ、と招き入れられ、昇り龍のジャンパーをゲット。スマホでアプリを立ち上げ、写真とともにコメントを書き込む。すると、アプリの電子地図に、リアルタイムで情報が追加されていく。画面を眺めていると、近くにいる別のグループからもバリアフリー情報が次々にアップされる。車いすの走行経路も自動的に記録。シンプルでわかりやすい。誰かがログを残したら、いつか誰かの役に立つのだ。

横須賀名物スカジャンの店で写真を撮り、ショッピングも楽しむ

○移動、あきらめない社会に

イベントの特徴は「健常者と障害者が一緒にやること」。グループごとに1台ずつ車いすが貸し出されて、健常者も交代で乗ることができる。友人に誘われたという東京の会社員、荒井翔己さん(36)は、車いす初体験。「ほんの少しの傾斜でも進めない」「人や車とすれ違うたびに怖さがある」と戸惑いながらも、健常者の視点では気づかないことを次々に発見。「誰も移動をあきらめない社会が実現できたらいいですね」と話していた。

今回は、車いすに初めて乗るという参加者が多かった。そう聞いた織田さんは「うれしい!」と笑った。「みんな、普段の生活では、優しい人なんてどこにいるの…と思っているかもしれないけれど、アプリに投稿してくれる人がいて、参加してくれる人もこんなにいる。人の優しさが心の車いすになる」と織田さん。街中の障壁は、なかなか減らないかもしれない。でも、心のバリアフリーは、きっと実現できる。

アプリをダウンロードすれば誰でも電子地図作りに参加できる

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