ウォーキングと糸電話で「コロナに負けない!」

2020/10/31

多摩川源流の山村、山梨県小菅村で新型コロナウイルス対策として始まった「コロナに負けない!カラダも頭も使ってウォーキング」が人気を集めている。感染防止で自宅にこもりがちな高齢者の運動不足を解消する狙いだが、「歩くのが楽しくなる」と年齢を問わず大人気に。仕掛けた同村の社会福祉協議会(社協)は、ウォーキングの新コースも設けた。また、ソーシャルディスタンスを守るために取り入れた「糸電話」も評判は上々。「新しい日常」の中でも、アイデア次第でコミュニティーが活性化する好例と言えそうだ。

〇コロナで危機感

奥多摩湖のさらに奥に位置する小菅村は、人口が約710人。そのほぼ半数を65歳以上の高齢者が占める。社協が、小菅村高齢者生活福祉センター「きぼうの館」を拠点に、デイサービスやケアマネジメント、介護予防、生活相談などを行っている。しかし、コロナ禍でデイサービスの人数制限を余儀なくされ、体操や食事会などを行う「タマリバ広場」も休止する事態に。社協スタッフが訪問を増やすなどしてサポートを図ったが、活動的だった人が昼間から寝ているなど、スタッフの危機感は一気に高まった。

山に向かって「ヤッホー!」。照れたりしないで思いっきりやるのがコツ

〇山にヤッホー

「介護やサポートを止めるわけにはいかない。でも、積極的に『センターに来て』とも言いづらい状況でした」と社協事務局次長で、介護福祉士の加藤弘美さん。ストレスや運動不足は健康の敵だし、会話をしないと認知機能の低下も心配される。なんとかしようとスタッフが考えたのが「カラダも頭も使ってウォーキング」だった。センターの周囲に約800メートルのお散歩コースを設定し、各所に手作りパネルを掲示。パネルには「山に向かってヤッホー!」「声を出して笑いましょう!」などの指示やクイズを書いた。好きなときに自由に利用できる仕掛けだ。

ウォーキングコースの周囲は自然がいっぱい。この日は、社協スタッフも一緒に。

〇コース増設中

コースができると、高齢者だけでなく親子連れも歩くように。地元の保育園が子供たちの写真を使ったクイズを作るなど、世代を超えた広がりをみせた。健康増進と地域振興を図る「こすげ村人ポイント」と連動し、今では歩いた分だけポイントが加算される。村内の別の地区に2つ目のコースも完成。あまりに評判が良いことから、「村内であと二つ作る予定」だ。

ほど良いソーシャルディスタンスが楽しい糸電話。懐かしさが好評

〇昔懐かし、糸電話

工夫は、ウォーキングコースの設置以外にもある。「ソーシャルディスタンスを保って会話できるように」と登場したのが、糸電話。再開した「タマリバ広場」には、感染防止対策としてアクリル板も設置したが、糸電話も活用中だ。天気が良い時などは、高齢者らが庭先のベンチで日向ぼっこをしながら「通話」を楽しんでいる。「みんなでいろいろとアイデアを出し合ったことを、喜んでくれる人がいるのがうれしい」と加藤さん。

隠れている字は…脳トレにも挑戦。

〇笑顔を生むアイディア

毎日ウォーキングをしているという木下キミエさん(87)は「ただ歩くだけじゃなくて、クイズとか、いろいろとやりながら歩けるのが楽しい」。この日は、一緒に歩いた青柳七枝さん(85)と糸電話も実演してくれた。「子供の頃にやったよね、懐かしいよね、って言ってるのよ」と2人でニコニコ。ちょっとしたアイデアで笑顔が増える。こんなときだからこそ、まずはチャレンジか。

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