ICTは介護を変えるか

2020/10/13

◆家で学ぶユマニチュード

新型コロナウイルス防止のための面会制限、通所介護の利用減…。コロナ禍が介護の現場を揺さぶっている。この危機をどうすれば乗り越えることができて、これからの福祉の現場にはどんな可能性があるのか。そのヒントを探ろうと、介護の最新テクノロジーを紹介するオンラインイベント「未来をつくるDiversityカフェOnline」が開かれた。イベントでは、フランス発祥の認知症ケア「ユマニチュード」を自宅で学べるアプリなどが紹介された。ICT(情報通信技術)の活用で、ピンチをチャンスに変えられるか。

ユマニチュードは、関係性や絆を重視するケアの技法。フランス語で「人間らしくあること」を意味する。「あなたを大切に思っています」と相手に理解できるように伝える技術と、その技術を使うための哲学からなる。400を超える具体的な技術は、ケアの基本となる「見る、話す、触れる、立つ」の4つの柱から構成される。たとえば認知機能の低下で視野が狭くなっている人には、顔の正面から同じ高さに近づいて話しかける。本人を驚かせずに済み、関係性を築きやすくなる。ひとつひとつの行為を通じて、優しさや親密さを届けることが基本になっている。

介護ロボット活用に向けて資格制度もスタートした(同)

◆孤独や不安の解消に

日本では、AIベンチャー企業のエクサウィザーズ(東京)が、一般社団法人日本ユマニチュード学会と協力し、普及事業を行ってきた。同社は、コロナ禍を受けて、ユマニチュードの技法を家庭で学べるアプリ「ケアウィズ」を無償で提供中。このほど開かれたオンラインイベント「未来をつくるDiversityカフェOnline」で、同社CareTech部の前川智明部長が利用法を紹介した。自宅でもすぐに役立つような基礎技術を、認定インストラクターによる動画で学ぶことができる。

介護が必要になると、家族と介護される高齢者との間でも、孤独と不安を抱えるケースが少なくない。人間同士の関係に立ち返って、相手の理解できる形で優しさを表現できれば、それが自分にも返ってくる。意思の疎通を感じられれば、お互いが前向きな気持ちになる。「試してみたら、表情が明るく、反応も良くなった」「心が通じる瞬間を感じた」という声も多く、高齢者を介護する家族から「未来が明るくなった」と言われることもあるという。

「未来をつくるDiversityカフェOnline」では、ICT化で介護の未来を作るヒントを探った(画像は一部加工しています)

◆トークセッションも

食事や入浴時の悩み、同じ話を繰り返すときの対応など、さまざまなケースに合わせた3分程度の動画が並び、すぐに試すことができる。同部の藤城卓己さんは、「オンラインでの学びは、参加しやすく、地域を選ばない。繰り返し見ることができて、幅広い人に届く。入り口として活用してほしい」と言う。

イベントでは、ハイブリッド特養プロジェクトを進める社会福祉法人善光会・サンタフェ総合研究所をはじめ、位置情報を利用するアプリを使って高齢者を見守る「みまもりあいプロジェクト」など、9つの会社・団体がプレゼンテーション。イベントを主催した「未来をつくるkaigoカフェ」の代表、高瀬比左子さんと出展者らによるトークショー「コロナ時代の地域包括ケアとICTの未来に必要なこと」も行われ、ICTの活用が話し合われた。

高瀬さんは「ICTには大きな可能性がある一方で抵抗を感じる人もいる。気軽に体験できることが大事。介護現場と関係者が手をつないで広げていきたい」と話していた。

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